地震保険に加入すべき?
地震保険の割引制度をチェックの上で、実際に保険料を試算してみて、加入した方がトクなのか損なのかを判断しましょう。
97:地震保険の割引制度
高い!という印象が強い地震保険の保険料。
実は割引制度もあります。4種の割引があるので、ご自身の家屋がどの割引適用になるかを、チェックしておきましょう。
まずは建築年割引です。
- 対象建物が、昭和56年(1981年)6月1日以降に新築された建物である場合
- なおかつ地震保険の契約開始日が、平成13年(2001年)10月1日以降である場合
この場合、契約金額の10%割引が適用されます。
続いて耐震診断割引。
- 耐震診断または耐震改修の結果、建築基準法における耐震基準を満たす場合
- なおかつ地震保険の契約開始日が、契約開始日が平成19年(2007年)10月1日以降である場合
昭和56年(1981年)以前の古い建物であっても、耐震診断を受けて基準をクリア―していれば、契約金額の10%割引が適用されます。
さらに免震建築割引。
- 対象建物が、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく「免震建築物」である場合
- なおかつ地震保険の契約開始日が、平成19年(2007年)10月1日以降である場合
この場合、契約金額の50%割引が適用されます。
申請には「住宅性能評価書」の写し、もしくは「技術的審査適合証」の写しなど、対象建物が免震建築物であること(耐震等級割引の場合は耐震等級)を証明した書類などが必要です。
最後に免震建築割引に似ていますが、耐震等級割引もあります。
- 対象建物が、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく「耐震建築物」である場合
- なおかつ地震保険の契約開始日が、平成13年(2001年)10月1日以降である場合
この割引は耐震等級というランクが3つに分かれており、耐震等級3に認定されていれば契約金額の50%割引が適用され、耐震等級2ならば30%、耐震等級1ならば10%の割引が適用されます。
申請には「住宅性能評価書」の写し、もしくは「耐震性能評価書」の写し、ないし「技術的審査適合証」の写し、または「認定通知書」と「設計内容説明書」が必要です。
上記の4種の割引は併用できず、どれかひとつしか適用できません。
98:地震保険料の長期契約割引
地震保険の保険料は1年契約で更新していくほかに、最大5年まで長期契約することもできます。
この場合、1年契約に較べると長期契約の方が1年あたりの保険料が割安になります。
保険の契約期間を2年にした場合の保険料の総額は、1年契約の金額の1.9倍、3年にした場合は2.75倍、4年にした場合は3.6倍、最長の5年にした場合は4.45倍になります。
仮に1年間の地震保険料を36,300円とした場合、毎年更新で5年間払えば181,500円ですが、長期契約ならば161,535円で済むというわけです。
しかしながら長期契約をする場合は、保険料は一括前払いになります。5年分の保険料を全額まとめて払うとなると、かなりの金額に跳ね上がってしまいますので、払える範囲の見極めをすることが肝心です。
99:地震保険料の所得控除
地震保険の保険料は、一定の金額が所得控除として取り扱われます。契約者本人または生計を共にする配偶者・親族のみが適用され、所得税(国税)は支払った地震保険料全額(最高限度5万円)、住民税(地方税)は支払った地震保険料×1/2(最高限度2万5千円)を総所得金額等から控除できます。
所得控除を受けるには、確定申告書に地震保険料控除に関する事項を記載するほか、 支払金額や控除を受けられることを証明する書類を確定申告書に添付するか、申告の際に提示します。もちろん年末調整で控除された場合は、その必要がありません。
100:地震保険に加入すべき人
割引制度や所得控除を鑑みても、地震保険の保険料は決して安いものではありません。
では安くはない保険料を払った方がメリットが高い人とは、いったいどういう環境の人なのでしょうか。
まず挙げられるのが、多額の住宅ローンを抱える人。家を買ってまだ間もない時期に地震の被害に遭い、自宅が住めなくなってしまった場合、住宅ローンはまるまる残っているのに、新たに新居のために金銭を捻出せねばなりません。
既存の住宅ローンの返済が困難になった場合、金融機関に支払い猶予や返済条件の変更などを相談できますが、返済を免除されるわけではない事を念頭におかねばならないわけです。
被害状況によっては地震保険で全額補償されるとも限りませんが、それでも保険金は再スタートの大きな助けになるはずです。
住宅ローンの初期は地震保険の保険金を高めに設定し、ローンが減ったらそれに合わせて保険金額を減らすようにするのも一計でしょう。
続いて預貯金が多くない人も、なるべくなら地震保険加入を考えたほうがベター。地震で家を失っても充分な預金があれば自力で家を再建したり、マンションを借りたりできますが、そうでないのならばやはり保険の助けは大きいものです。
預金する金銭的余裕がないのに地震保険料を払えるわけがない、という言いぶんももちろんありますが、割引や契約内容を吟味して、やりくりができそうならば加入をお勧めします。
また、被災時に身を寄せるアテがない人や、地震保険の保険料率が高い地域に住んでいる人も、加入できればしておくに越したことはありません。