ペットのための災害対策
大きな地震や台風・水害の発生時には、ペットも人間同様に被災します。突然発生する日常との断絶に動揺し、ストレスを抱えるのは人間も動物も同じこと。
大切なペットの命をつなぎ止め、なおかつ飼い主とともに心と体の安寧を得るにはどのようにすれば良いのでしょうか。
73:すぐに避難できるように
ペットにもいろいろ種類があります。地震や台風時に大規模停電が発生しそれが長期間続く場合、水槽の熱帯魚は手の施しようがありません。水槽自体が崩壊する恐れも考えられます。
魚でなく犬や猫にしても、大きな地震のショックで外に飛び出してそのまま行方不明になってしまうことがあります。また余震や二次災害に巻き込まれて命を落とすこともあります。
地震などの災害はいつやって来るかわかりません。
飼い主が在宅時に地震が発生したときは、抱き寄せるなどしてペットがパニックに陥って飛び出して行かないようにします。
揺れが収まったらリードで首輪と繋ぎ、キャリーに入れましょう。
またキャリーを嫌がることにないよう、普段から慣らしておくことが大切です。キャリーはハードタイプのものを選んで、普段からペットのそばに置いておきましょう。飼い主が留守時に地震が来た場合、そこに隠れることができるからです。
ちなみにペットだけ家に残して避難してしまうと、居住区への立ち入りが禁止されてしまうなどの理由で、その後ペットが連れ出せない場合もあります。
74:避難所にペットは連れて行ける?
地震や水害で自宅が全壊・半壊した場合は、余震などでの二次災害を避ける目的もあり、当面は避難所で過ごすことになります。この場合、ペットを避難所に持ち込めるのかが一番の問題になりますよね。
基本的に避難所へのペット持ち込みは、許可されている場合が多いはず。とはいえ、飼い主と同じスペースに持ち込んで生活できるという意味ではありません。
なぜならたとえ避難所がペットの受け入れを許可していても、必ずと言っていいほどトラブルが発生してしまうからです。トラブルの内容は鳴き声、排泄物、ストレスに陥ったペットが人を攻撃するといったものから、動物アレルギーを抱えた避難民がいるなどというものもあります。それ以上に免疫力の落ちた子供やお年寄り、乳児に対してペットが保有している菌が悪影響を及ぼすおそれも考えられます。
ですので、例えば体育館内や公民館内に持ち込むことはほぼできないと思っておいた方がよいでしょう。敷地内のどこかにリードを結わえておく、屋外にテントを張ってそこで飼い主ともども生活するというといった選択になるはずです。
75:避難所次第では交渉も
避難所の状況の善し悪しによっては、ペットのためのスペースを作ってもらえることもできます。
小学校や中学校の体育館や教室に避難している場合は、空き教室をペット専用の部屋として設定してもらうという手もあります。
また、交渉はひとりではなくペットを飼っている人たちで結束し、要望をひとまとめにしてから行うとスムース。あの人とこの人で言っている内容がチガウじゃないか、といった不満を運営側に与えずに済みます。
76:避難所での注意
避難所にペットを持ち込む場合、たとえ運営側が認めたにせよ人間が大変な時にペットなんて…という反応を示す人はどうしても一定数います。ただでさえ不自由の多い避難所生活で感じるストレスに加えて彼らの反感にまでも対峙することは大変です。
困った時はお互い様ではありますが、ペットの飼い主もまた余計な非難を受けないよう考えて行動する必要があります。
要は「動物なんだからしょうがないでしょ!」という逆ギレをしないということです。
具体的に見て行きましょう。
たとえば鳴き声。「動物なんだから吠えるのはしかたないでしょ!」は絶対ダメです。飼い主だから聞き慣れている鳴き声も、そうでない人にとってはただの騒音。
飼い主の不安な感情が移って鳴いたり吠えたりすることも多いので、飼い主自身が不安でたまらない様子を露わにせず、逆に明るくペットにスキンシップをして安心させる余裕が必要です。
続いて気をつけたいのは匂いです。ドライシャンプーを施し、ブラッシングをこまめにすることで解決できます。ブラッシングはスキンシップの一環にもなりますので積極的に時間を取りましょう。
そして排泄物にも気を配りましょう。
犬の排泄物は必ず排泄袋に入れて処理します。
猫は猫砂があればそれを利用し、なければペットシーツや新聞紙を使います。これもまたこまめに処理をして、匂いを出さないようにしましょう。